それいけ!食農探検隊
タケノコをねらうライバル
タケノコをねらうライバル
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まだ、
寒 さは残 っているけれど、春 を感 じる日差 しの季 節 になったね。昨日 は一日中 雨 だったけれど、今日 は良 い天気 だし、この竹林 でタケノコ掘 りに挑戦 しよう。 -
はい!
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はい!
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ただし、さきほどご
挨拶 した農家 さんが決 めた場所 から出 てはいけない。足 をすべらせると、けがをするし、電気 柵 にふれるとビリビリッとなるぞ。 -
電気 柵 があるんですか?農家 さんはなぜそんなものを置 いているんですか? -
電気 柵 で囲 っておかないと、イノシシに食 べられてしまうのよ。 -
イノシシがタケノコを?そんなにたくさん
食 べてしまうんですか? -
そりゃあもう…。わたしたちが
地面 を見 ても気 づかない、土 の中 にある小 さなタケノコでも、するどい鼻 で探 し出 してしまうのよ。 -
掘 ろうとして竹林 に来 てみたら、すでに食 べつくされていたという話 も珍 しくないよ。 -
そうなんですか。ところで、どこを
掘 りましょうか? -
タケノコは
地面 から出 るか出 ないかのうちに掘 り出 して食 べることが最 も美味 しいとされているんだよ。長 さにして5㎝くらいだね。 -
そんなに
小 さなタケノコを?素人 のボクじゃ見 つけられないよー。 -
今朝 のような雨上 がりの朝 はタケノコ掘 りのねらい目 の時間 帯 なんだ。ことわざにも「雨後 のタケノコ」とあるように、いっぱい出 てくる。大人 の竹 から少 し離 れた地面 を、足 で落 ち葉 をかき分 けるようにして足裏 の感覚 で探 せば見 つけやすいよ。 -
足裏 の感覚 で…。あっ、あった! -
次 は円 を描 くようにタケノコの周 りの地面 を鍬 で掘 ろう。大 きめに掘 ったほうが後 の作業 がやりやすくなるよ。 -
よいしょ、よいしょ、よいしょ…。
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いっとくん、がんばってー。
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根 が見 えてきたら、下 のほうの節 に鍬 を入 れて切 り離 して掘 り上 げる。 -
よいしょー!とれたー!
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わー。
美味 しそう。でも、タケノコって「あく抜 き」が大変 なのよね。 -
「あく」は
掘 った直後 からどんどん増 えるの。カルシウムと煮 ると増 えることを抑 えられるから、カルシウムが多 い米 ぬかと煮 るのよ。春 の料理 である若竹煮 が美味 しいのも、いっしょに煮 るワカメにカルシウムが多 いからよ。 -
タケノコを
食 べようとすると節 の間 からときたま出 てくる白 い粉 。なんか気 になるんですけれど? -
白 い粉 の正体 はチロシンというアミノ 酸 の一種 よ。毒 ではないから食 べ過 ぎない限 り問題 はないわよ。最近 の研究 では脳 を活性化 させることが分 かって、認知 症 の予防 にも期待 されているのよ。イノシシがこのことを知 っていてタケノコを食 べ荒 らしているのだとしたら、ちょっとこわいわね。
補足
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日本 では竹取 物語 にも登場 するように、なじみの深 いタケノコですが、世界的 に食用 としているのは中国 などの東 アジアの一部 に限 られています。「こんなに美味 しいのに」と思 わないでもありませんが、考 えてみれば日本 でなじみのない食材 は世界 中 にいくらでもあるのですから、お互 い様 ですね。