それいけ!食農探検隊
麦踏みをする理由
麦踏みをする理由
-
寒 いー! -
隊長 、寒 いですー!こんな寒 さの中 で、なぜ私 たちは麦畑 にいるんですか? -
今日 は「麦踏 み」を行 う。 -
えー!
麦 を踏 んじゃうんですか? -
寒 い日 が続 くと予想 されるときには、霜柱 ができる前 にやっておかなくてはいけないんだ。 -
なぜ、
霜柱 ができる前 にやらないといけないんですか? -
霜柱 は土 の中 の水分 が地表 まで上 がって、空気 の冷 たさで柱 の形 に凍 ったものだ。土 の中 から作 られるから地面 が持 ち上 げられてしまう。大 きいときは10㎝にもなる。そのままでは麦 の根 が地面 から浮 き上 がってしまうから、それを防 ぐために行 うんだよ。 -
見 たところ芽 が出 たばかりで、葉 が3枚 くらいじゃないですか。こんな状態 の麦 を踏 んでも良 いんですか? -
もちろん、
踏 めば茎 が折 れ曲 がったり傷 がついたりして、麦 の水分 を吸 い上 げる力 が弱 くなるわよ。 -
わざわざ
弱 くするなんて…。麦 が枯 れたりしないんですか? -
まず、
麦 の中 で水 が凍 ってしまう心配 が少 なくなるの。踏 むことで茎 や葉 が硬 くなり、根 も伸 びて結果的 に寒 さや乾燥 や風 に強 くなるのよ。 -
さらに
麦 の成長 状態 をそろえ、根元 から新 しい茎 が多 く伸 びるようにして、より多 くの麦 が実 るようにすることもできるんだ。さっそく、始 めるぞ。一列 に並 んで! -
はい!
-
はい!
-
はい!
-
少 しずつ進 みながら一株 、一株 ていねいに踏 んでいくんだ。ただし、地面 にめりこむほど踏 みしめてはいけないぞ。いちに、いちに…。 -
いちに、いちに…。
-
いちに、いちに…。
-
いちに、いちに…。やっぱり、
寒 い!機械 でできないの? -
現在 ではローラーで麦踏 みを行 う農家 の方 も多 いわよ。 -
でも、
先人 のご苦労 を身 をもって知 っておくことも必要 ですよね。 -
そういうこと。ちなみに、
麦踏 みはこの一回だけではない。特 に冬 が終 わって穂 ができ始 める直前 に行 うことが重要とされている。なにごともきめ細 かい管理 が必要 なんだね。
補足
-
昭和 の中 ごろまでの田 んぼでは、初夏 から秋 にかけて水 を張 って稲 を作 り、晩秋 から春 には水 を抜 いて麦 や大豆 を育 てる二毛作 が行 われていました。鎌倉時代 から盛 んになったのですが、高度 経済 成長期 ごろから、特 に麦 や大豆 が輸入 品 との値段 の差 がありすぎて売 れなくなったので、あまり行 われなくなりました。連作 障害 が発生 しにくい田 んぼの有効 利用 なのですが…。時代 の流 れとはいえ一抹 のさびしさを感 じますね。