それいけ!食農探検隊
今でも舞うのかな?
今でも舞うのかな?
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これより、食農探検隊会議を開催する。今回の議題は?
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今回の議題は「見つけると舞い上がるほどうれしいから名付けられたとも言われるマイタケにはどんな栄養があるのですか」です。初めにマイタケの栄養、効能についてあぐりちゃんからの報告です。
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報告します。シイタケもそうであったようにキノコ類はビタミンDを多く含みますが、マイタケには特に多く含まれます。ビタミンDはカルシウムを体に保つ働きをするので、丈夫な骨を作ることに欠かせません。したがって、骨粗鬆症の予防にも欠かせないことになります。
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どんな料理がおすすめかな?キノコ類が具によく入っている茶わん蒸しかな?
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シイタケやブナシメジが入ることが多い茶わん蒸しですが、マイタケは珍しいのです。というのも、マイタケを生で具材にすると蒸しても卵が固まらないからです。
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えっ!どうして?
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卵には熱を加えると固まるタンパク質がありますが、マイタケはそのタンパク質を分解する酵素を持っているのです。マイタケを別に30秒以上茹でると酵素の働きがなくなるので、それから茶わん蒸しに加えると、マイタケのうま味が楽しめます。逆に生で肉料理に使えば、この酵素を利用して肉を軟らかくすることもできます。以上です。
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マイタケのうま味たっぷりの味わいは調理方法にも色々な工夫を生んでいるんだね。次の報告は?
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続いて、マイタケの歴史についていっとくんからの報告です。
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報告します。マイタケは日本を含む温帯地域に分布し、ブナ科の木に生えるキノコです。ブナの多い東日本では古くから高級なものとされていました。江戸時代には豆腐にマイタケを混ぜて蒸した料理を紹介する本が書かれ、東北地方ではマイタケが驚くほどの高値で藩に買い取られたこともあります。
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藩が高値で買い取る?なぜ、そんなことが起こったんだい?
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東北地方の藩が江戸の幕府へマイタケを献上しました。その美味しさが心に響いたのか、幕府はもっと欲しいと言ってきました。そこで大名は国許に「同じ重さの銀を与える」とのお触れを出して、マイタケを集めさせたと言われています。
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銀と同じなんて…。それだけ貴重だったわけね。現在ではいつもお店に並んでいるのはなぜかしら?
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マイタケは環境に敏感で、胞子が付いていても周りを不用意に歩き回ると生えなくなります。現在でも天然物が希少である理由です。栽培するにしてもシイタケのような原木栽培は難しいのです。現在は屋内での菌床栽培が盛んに行われていて、手ごろな価格でわたしたちが食べることができます。以上です。
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キノコ類の栽培の研究は長い期間行われてきただけあって、成果には目を見張るものがあるね。日本ではシイタケが定番だったわけだが、近年は本来日本には存在しないエリンギ、「香りマツタケ、味シメジ」とうたわれ栽培は不可能とされていたホンシメジまで出ている。どこまで進むのか楽しみだね。
補足
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菌床栽培の発展によって現在ではマイタケは1年中出回っていますが、本来の旬は9月~10月です。天然物はなかなかお目にかかれませんので、長年、山でキノコを採ってきた人もマイタケを「見つけた」ではなく「当たった」と言うそうです。一度生えた木には定期的に生えて貴重なので、その場所は家族にも秘密にする、言わばお宝扱いされていたそうです。