それいけ!食農探検隊
名乗りは冬でも旬は夏
名乗りは冬でも旬は夏
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これより、食農探検隊会議を開催する。今回の議題は?
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今回の議題は「トウガンの旬は夏ですが、漢字ではなぜ『冬瓜』と書くのですか」です。初めにトウガンの栄養、効能についてあぐりちゃんからの報告です。
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報告します。トウガンの成分は95%が水分です。残りの大部分は炭水化物ですが、それ以外にカリウムを豊富に含んでいます。カリウムには利尿効果があり、むくみの解消や、高血圧予防の効果が期待できます。台湾ではトウガンと黒砂糖を煮詰めて作る「冬瓜茶」があって、日本の麦茶のように夏の定番の飲み物となっています。
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日本よりも暑い台湾での定番の飲み物か。トウガンは暑気払いに良さそうだね。ところで、なぜ「冬」の字が使われているのかな?
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完熟させて収穫したトウガンは日持ちが良く、冬まで持つから「冬」の字が使われると言われています。実際、冷蔵庫を使わなくても、日の当たらない風通しの良い所で、上手に保存すれば年明けまで持たせることも可能です。味はもともと淡白なので、保存の前後でもあまり変化しません。
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どんなお料理がおすすめかしら?
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トウガンは生でサラダにしても美味しいのですが、煮物や炒め物にすることが多いです。特に皮を薄くむいて下茹でしたトウガンを鶏肉か魚介と煮ると、きれいな緑色になり、「翡翠煮」と宝石に例えられる料理になります。半分に切って中をくり抜き、具材を入れて蒸すスープも彩りが鮮やかでおすすめです。以上です。
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外側はしっかりしていても、中は柔らかく淡白な味だからこそ、色々な味付けや調理方法ができるんだね。次の報告は?
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続いて、トウガンの歴史についていっとくんからの報告です。
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報告します。トウガンはウリ科トウガン属に属します。原産地は東南アジアからインドにかけての熱帯アジア地方です。日本には中国を経て伝わりました。平安時代には「カモウリ」の名前で栽培されていたことが記録されています。ヨーロッパやアメリカにも伝わりましたが、どちらも広まることがありませんでした。アジア独特の野菜と言えます。
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トウガンは普通に食べる以外にどんな使い方をされていたのかな?
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トウガンを薬膳に使うと、熱を冷まし水分を増やして暑気あたりを予防するとされています。皮にも同じような尿の出を良くする効能があるので、残さず使い切るべし、ともされています。種を乾燥させたものは「冬瓜子」と呼ばれる生薬になります。
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畑で育てているときにはどんなことに注意したら良いのかしら?
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トウガンの日本での栽培時期は4月~9月です。連作には不向きな野菜なので3年はウリ科野菜を栽培していない畑を使います。暑さには強いのですがその分、発芽には25~30℃の温度が10日間必要です。十分な水も必要ですし、実を大きくするための肥料も欠かせません。しかし、花が咲く前に肥料をやり過ぎると茎や葉ばかり茂ることになるので注意が必要です。以上です。
補足
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現在ではマイナーなイメージがあるトウガンですが、日本では平安時代に記録があるように古くから親しまれてきました。また、トウガンは中が柔らかく淡白な味で食物繊維が多いので、大人だけではなく、腸の働きが弱い赤ちゃんの離乳食に使われることもあります。まだまだ、可能性を秘めていることが予想できますので新しいレシピに挑戦してみてはいかがでしょうか。