それいけ!食農探検隊
名月は満月だけとは限らない
名月は満月だけとは限らない
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これより、
食 農 探検 隊 会議 を開催 する。今回 の議題 は? -
今回 の議題 は「クリをおそなえするお月見 はいつ行 うのですか」です。初 めに、クリの栄養 、効能 についてあぐりちゃんからの報告 です。 -
報告 します。クリの実 はデンプンは多 いですが脂質 は少 なめでミネラルも多 くヘルシーです。食物 繊維 もたっぷりでゴボウを上回 り、ビタミンCも温州 ミカンと同 じくらい持 っています。ビタミンCは熱 に弱 いのですが、豊富 なデンプンが守 ってくれるので、茹 でたり焼 いたりしても壊 れにくいです。 -
たしかに、
秋 が深 まるとほくほくのクリを食 べたくなるわ。でも、見栄 えや歯 ざわりが悪 くなる渋皮 はどうにかならないかしら? -
渋皮 にはタンニンが多 く含 まれています。タンニンには抗酸化 ・殺菌 作 用 があり、健康 重視 なら渋皮煮 や油 で揚 げる調理 方法 がおすすめです。渋皮 をどうにかしたいという思 いをかなえたような、外側 の硬 い鬼皮 と渋皮 がいっしょにむける品種 もあります。 -
クリをおそなえするお
月見 とはいつのことかな? -
旧暦 の8月 15日 はお団子 やサトイモなどをおそなえする「中秋 の名月 」ですが、旧暦 の9月 13日 は「十三夜 」と呼 んでクリや豆 をおそなえして収穫 に感謝 する習 わしがあります。「中秋 の名月 」は中国 から伝 わったそうですが、絶対 に満月 にならない「十三夜 」は日本独特 のものみたいです。以上 です。 -
随筆 の古典 「徒然草 」にも「花 は盛 りに、月 は隈 なきをのみ、見 るものかは」とあるから、欠 けた月 にも風情 を感 じるのが日本人 なんだろうね。次 の報告 は? -
続 いて、クリの歴史 についていっとくんからの報告 です。 -
報告 します。クリはブナ 科 クリ属 に属 します。北半球 の温帯 地域 に広 く分布 していて大 きく日本 原産 のニホングリ、中国 ・華北 地方 原産 のシナグリ、ロシア・コーカサス地方 原産 のヨーロッパグリ、北 アメリカ 大陸 原産 のアメリカグリの四 つに分 けられます。 -
クリはいつごろから
食 べられていたのかな? -
どの
地域 のクリも太古 から利用 されてきました。日本 でも青森県 の三内 丸山 遺跡 からは、今 からおよそ5000年 昔 の縄文時代 にはクリの栽培 をしていたことが発見 されています。米 、サトイモが伝 わる前 の日本人 の主食 はクリだったと主張 する研究者 もいます。 -
そんなに
古 くから食 べられていたからには、お料理 も色々 と伝 わっているのよね? -
現在 はお菓子 材料 の印象 が強 いクリですが、江戸時代 までは様々 な調理 方法 で料理 になっていました。戦国時代 には天日 干 しした後 に軽 くついて鬼皮 と渋皮 を取 り除 いたかち栗 が兵糧 として盛 んに利用 されていました。かち栗 は「勝 ち」に通 じるとして現在 でもお正月 の縁起物 に使 われています。以上 です。 -
クリの
旬 に食 べる栗 ご飯 は美味 しいし、食物 繊維 もビタミンCも豊富 なんだね。昔 の人 は経験 から体 に良 いものだと知 っていたんだろう。現在 でもクリの活用 方法 を研究 する値打 ちはあるんじゃないかな。
補足
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和菓子 の栗 ようかんに栗 まんじゅう、洋菓子 のマロングラッセにモンブラン、いずれもクリを使 ったお菓子 です。マロングラッセは日本 では内祝 などに重宝 する近代的 な嗜好 品 の印象 がありますが、その起源 は紀元 前 4世紀 に大 帝国 を作 り上 げたマケドニアのアレクサンドロス大王 が妻 に贈 ったものとされています。世 の東西 を問 わずクリと人間 の関 わりは長 いのですね。